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DiMAGE A1 本来の画質(2)

2004年6月1日

サンパウロ在住 美代賢志

 前回、ちびっと厳しい意見を出したディマージュ・ビューワー(DiMAGE Viewer=DV)に関するメリットについて。

 正直、現在ではDVでRAW現像は行わず、もっぱらSILKYPIXのみで現像している。のだけれど、SILKYPIXでのRAW現像はこれまでホワイトバランスが取れておらず(一律にずれていたという意味)、バージョン0.0.19でようやく、カメラでの設定が利用できるようになったことで解決した(という解釈でいいのかな?)。このSILKYPIXをDVの色に合わせようと試行錯誤する中で、実はDVでのRAW現像でも、「おや?」と感心することがあった。今回はそのあたりに加えて、焼けCCD氏がサイトで説明しておられる、DVはRAWのハイエストをカットしていること、それからカットされた部分はリニアな特性が失われている可能性があるそうで、ここから思いついたことを含めて、書いてみたい。

1) 緑かぶりなのか?
 DVで現像した色に合うようにホワイトバランスの崩れていたSILKYPIXを調整していると、途中でスッキリした色が得られることがあった。あれ?と思って今度はSILKYPIXのその色に似せようとDVのCCパラメーターをいじっていると…。確かに空などのヌケが良くなる。これが巷で言われる「緑かぶり」なのかどうか。正直、緑かぶりというよりも、色味という風に受け取る方が良いのではないかなぁと思う(程度のパラメーターの違い)。あと、撮影直前のEVFとアフタービューの色味が違うのも、「そんなものじゃないか?」と思うのだが…(C2000zはもっとひどかったし)。私はよほどの事情がない限りRAWでしか撮影しないので、この「スッキリ」パラメーターをDVで登録することで解決した。もっとも、スッキリというのは、あくまでも「私の好みで」、という意味。

 ただ残念だなと思うのは、この「好みの現像パラメーター」をカメラ側に移植する手段がないこと。ディマージュキャプチャーを使っても出来ないようだ。これが可能であれば、JPEGオンリーなユーザーにとっては、それこそ福音じゃなかろうか。現状でも、豊富なプリセットWBとフィルター効果を組み合わせれば可能かもしれない…のだけれど、膨大な組み合わせから近似値を求めるぐらいなら、さっさとRAW+保存パラメーターのバッチで撮影した方が楽なのだ。

 そちらこそ面倒という意見もありそうだけどね。でも、正確を期したいというなら、最初の1枚を切り現するような感じでパラメーターの設定を行って保存、その画像を現像せずにサムネイルに戻って後はバッチでOKじゃないか?と思う。

 「緑かぶり…」でA1の購入をためらっている人がいるとすれば、「画質を気にし出したら、いずれRAWでしか撮影しなくなるんだから、気にすることないんじゃないか(ちょっとした色味の違いって感じだし)」と、提案したい。ハード的な要素(操作性など)でA1を気にいっているなら、ということが前提だけれど。

2) 地味なのか?
 最初はC2000zの方がパっと見でキレイじゃないか(ただし注意しないと白飛びしまくりますが)、と思った。のだけれど、DVでも現像パラメーターをいじれば、実にスッキリした見栄えのある?ハデ画像だって生成する。それで、焼けCCD氏によれば(あとSILKYPIXのサイトでもDVではなく一般論として書かれてあるが)、DVのRAW現像ではハイエストがどうやらカットされているらしいということ、焼けCCD氏の場合はリニアな特性が失われたハイエストの部分の色情報を捨て(減らし)つつ利用すると指摘されている。それでふと気付いたことが。

 とりあえず、次の2枚を見比べてください。ホワイトバランスはともに太陽光=カメラの設定値。現像の条件は、それぞれの条件で「私のデフォルト=最大公約数的に好みのパラメーター」。どちらか一方に近づけるのもあまり意味がないし、変更できるものを本来的な意味でのデフォルトで比較するのも意味がない。だから、私がバッチ処理する場合のデフォルトで比較したほうが良いんじゃないの?というのがその理由。両方のプログラムでそれぞれベストと思われる画像を生成したわけじゃないので、そこんところ、ご注意ください。

 いかがです? 私の好み(撮影時のイメージ)は左側。それで、その左側の画像が、DVでRAW現像をしたもの。右側の黄色味の薄い方がSILKYPIX。こっちは、素直といえば、素直かも。

 次は、その一部拡大。DVはシャープネス弱、SILKYPIXはシャープネスとNR「なし」です。最初は、DVの赤いノイズがA1のホワイトバランスに影響を与えてるんじゃないのかなぁ…とも思っていた。こうしてみると、DVはシャープネス弱でもシャープネスがかかっていることがわかる(だから「弱」なんだけどね)。同様に、左がDV、右がSILKYPIX。

 もっとも、私の技術的な知識はゼラチンフィルターよりも薄いわけで(笑)、こうした違いが生じる原因は、それぞれのページで推察してください。ちなみに、SILKYPIXではマイナス補正とコントラストをあげる(かつ中心点をシフトさせる等)で、DVに近い絵になります。あと、シャープネスも、赤色ノイズなく同様に引き上げることが可能。しかし…、一発で好み(というか、最大公約数的に無難といった方が良いのか?)の画像を生成するDVも、ナカナカだなと見直した。てか、正直、自分なりの好みのパラメーターを設定したDVによるRAW現像は、ノイズ以外はけっこう好きだったりもする。このあたりが、RAW現像プログラムの使い分けの醍醐味だろうか。私はそこまで楽しむ段階に至っていないけれど。

3) 何故にRAW現像野郎なのか?
 正直に白状すると、そもそものきっかけは、「その方がキレイじゃないか?」という思い込みが最初にあったことと、JPEG記録と違ってストレートに縦位置の画像が生成できること、フラッシュを使った撮影をマニュアル発光で運用していること、の3つだった。とくに、あとの2項目のほうが、当初の理由としては優先度が高かったりした(笑)。

 それで、カラーや露出、それからノイズの対策に関しては、RAW+DV+レタッチでOKだろ?とも思って実行もして来た。最初に披露したあたりの使い方がそう。しかし個人的な気持ちの問題として、現像時に大まかに調整して得られたTIFFなどを微調整、最終的にJPEGに落すより、現像段階で微調整できた方がシアワセというのがある。銀塩で言えば、焼付けでマルチグレード印画紙も良いけど、まずはフィルム現像を、と。とくに一番下の写真で示した部分などで、等倍表示を見ながら「トーンを出して…」などといった調整もストレスなくできる。その環境が、SILKYPIXによってもたらされたということ(それだけ、と言われれば「だけ」なんだが)。

 デジタルって「フィルム(色味)とカメラをセットで買わなきゃいけない」ような悲壮感があったけれども(それは私だけ?)、その足かせから開放されて喜びはしゃいでいるというのが、まぁ、このページ。JPEGな人は、「バカの独り言」と笑ってやり過ごしてくださいな。

つづく

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