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舌の根も乾かぬ内に新たなデジカメ |
2004年1月12日 |
サンパウロ在住 美代賢志 |
以前、こんなことを書いていた舌の根も乾かぬ内に、親ばか写真を増殖させるべくデジタルカメラを購入した。カメラは、コニカミノルタのDiMAGE A1。「さぁ、娘がホントのモデルになるまで、新しいデジカメで撮って撮って撮りまくろー!」とブラ妻が言うのに対して、「娘はモデルよりカメラマンになって欲しい」と私が言ったりなんかして。親ばか会話が弾む弾む。
などと書くと本当に信じてしまう読者がいるかもしれないのでクギをさしておくと、購入の動機はお手軽デジタルカメラの買い換え。よって記録写真は今後も、フィルムが中心だ。残念ながら、デジタルカメラの進歩がデジタル画像の保存性を解決してくれるわけじゃない。
それから私の場合、「お手軽デジタルカメラ」というのは「仕事で使うカメラ」を意味する。つまり、親ばか写真(趣味写真)のほうが高いクオリティー(解像度と耐久性)を必要とし、仕事写真は媒体のクオリティーをカバーしていれば(つまり生産性が高ければ)OKというわけ。Web媒体や普通の雑誌なら、それほどの高画質は不要。むしろ「写っている」ことや「撮影できる」ことのほうが大切なわけで、そのためにカメラは高い操作性と携帯性を備えていることが条件。そこんとこ、大前提なんでヨロシク。
Webを参考にしながら機種を選定したのは、前回のC-2000Zと同じ。現物を見ることも触ることもなく購入するため、手にして始めて分かるギミックに一喜一憂する楽しさもある。
「なななな、なんでこの機能がないんだ?」と思うこともあれば、「おお、こんなことができるのか!」と、良くも悪くも期待を裏切られることは楽しい。
そこで、今回は(今回も?)ブラジルとはまったく関係のない写真の話題ながら、同様にWeb情報を頼りにこのカメラを購入する人もいるかもしれないという一人合点で、Web上の情報の幅を広げるためにあえて書いてみたい。
C-2000zの思ひで
このカメラは、発売と同時に購入した。選定の理由は、この機種以外に選択の余地がなかったため。同クラスのCCDを使ったデジタルカメラはニコンもあったが、「入荷待ち」ということで友人がブラジルに持ち込むには時間切れだった。わざわざ手間をかけてフィルムスキャナーを利用しなくても(私のはホコリの自動除去機能すらない)、画像をデジタル化できるのには感動した。しかも、それまで借りて使っていたCasio製35万画素機とは比較にならない高画質。「こりゃもう、写真じゃないの!」などと喜んだりもしたが当時は、日本の雑誌編集者から「デジタル画像には対応できません」などと言われたことも多かった。現在とは隔世の感がある。
このカメラは今でも、新聞の紙面に使うには十分な画質だし、Web用途でも同様。それでも使ううちに、操作性を中心に不満がでてきた。主な不満を列挙すると、以下のようになる。
ホワイトバランスが固定できない
電源を切ると、ホワイトバランスがリセットされる。新聞(当然だがモノクロ)なら気にならないし、ちょっとした遊び写真ならその都度設定するだけの余裕はある。つまり、購入当初はほとんど気にしていなかった部分。しかし、デジタル画像を使った仕事が増えるにつれ、「何とかならんか?」と、思い始めた。
光学ファインダーの視差
気にならない人は気にならないだろうが、私は非常に気になる。最近では「だったら液晶でいいじゃん」という意見が多数派かもしれない。私の場合、背面液晶は集中力が持続しないので苦手。それに事件取材の場合、作画に没頭できる光学式(というか、覗く方式の)ファインダーの方が「周りが見えないだけに恐怖が沸き起こりにくい」という効果もある。
200万画素
同時プリントのサイズ(ブラジルでは15cm×10cm)で紙焼きしても、明らかにアンダースペック。フィルム写真との差は歴然としている。これはもちろん、親ばか写真用途での不満。もしかするとこれは、ミニラボの機械的な性能差かもしれない。フィルム写真の焼付けはアナログオンリーの旧式ミニラボ、デジタルは(あたりまえだが)デジタル式のミニラボを利用している。フィルムは一度だけ、デジタル式を利用した。その時の仕上がりがかなり硬調で不満爆発、以来、利用していない。
焦点レンジ
個人的には24mmが好きだし、長い方は200mm程度は欲しい。常時携行する仕事カメラとして考えると、C-2000zの35-105mm相当は物足りない。
沈胴式レンズ&電動ズーム
電源を入れっぱなしにしてカバンの中に放り込むことができない。また電動ズームは、事実上、構えてからしかズーム操作ができない。どの焦点距離に設定されているのかが分からなければ、ファインダーを覗いて決めるしかないから。
外部ストロボが使えない
シンクロコネクターがあるので、使えるには使える。が、なぜか「内蔵フラッシュを発光させないとシンクロコネクターも使えない」。つまり画像的には、「内蔵フラッシュで適正露出を得た上に、外部フラッシュの光があたる」という、オーバー露出になってしまう。恐らく、内蔵ストロボが届かないところを外部ストロボでカバーすることを想定していたのだろう。
と、あらかじめ書いたように、不満のほとんどが操作性に集中している。実際問題としてマスコミ関係者の仕事カメラの場合、グラフ誌でもない限り、私同様に解像度が低くてもOKというケースのほうが多いのではないだろうか? そこで代替機種は、次のような条件から絞り込むことにした。
・
コンパクトネス(C-2000zと同等からやや大きい程度まで)
・
ハイレスポンス(手動ズーム、高倍率ズーム、フラッシュ内蔵)
・
一眼式のファインダー(光学式の視差は許せない)
・
内蔵フラッシュ(内蔵フラッシュじゃなきゃ撮影できないものもあるのだよ)
・ 自由なフラッシュ撮影(外付けフラッシュが使用可)
・ マニュアル露出
・ 明るいレンズ
・ マニュアルフォーカスが可能
つまりは、代替機種も機動力(というより撮影力か)重視。画質が条件に挙がらないのは、「きれいに撮影する」ことよりも「撮影することができる」というカメラの「撮影力」が、何を置いても大切だから。過去に悔しい思いをしたトラウマがあるからな。もちろん、「画質は関係ない」とまで言い切るつもりはない。でも今時のデジタルカメラなら普通、どれを選んでも化石のような200万画素機C-2000Zより画質も良いんでないの? そもそも、画質への要求レベルが高ければフィルムカメラにすれば良いだけのこと。あるいはレンズ交換式のデジ一眼を購入するとか。画質優先の依頼なら、気合も入る(「気合を入れる」というのは、「カメラバッグを担いで撮影に行く」ということ)。この場合はコンパクトネスも何もあったもんじゃない。巨大なバッグにフィルムカメラとレンズをわんさか詰め込んで担ぐことに不満はない。
結果として、ある程度のカメラ知識のある方なら分かっていただけると思うのだが、DiMAGE A1しか適合機種がなかった。同様に消去法でこのカメラを検討、あるいは購入している人は多いんじゃないかと思う。これ以外に存在しないとなると、判断の分かれ道はつまり、「購入するか、見送るか」ということ。私は購入の道を選んだ。なぜなら、購入を見送って撮影できない悔しい思いをするより、撮影できるほうがはるかに嬉しい。
白状すると、気が付けばニコンD100やキヤノンEOS10Dの関連サイトを検索していたりなんかして、「おいおい、今回はお手軽デジカメの買い換えだぜ」と、我に返ることもあったけどね。いやはや、カメラを買うのは楽しい。
(つづく)
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