2002年10月24日 |
サンパウロ市在住 美代賢志 |
ブラジルに、日系詩文学会というのがある。そこの武本文学賞というのが、ブラジルの日本語文壇でもっとも権威のある賞のひとつであるらしい。9月中旬、知り合いのコロニア作家から、「前に言ってた武本に出す文章、書いたか?」と聞かれた。そういえば数ヵ月前、生返事をしていたのだ。聞けば、締め切りまで3日もない。仕方なく、昔の文章をかき集めて原稿用紙に4枚書いたところ、「応募規定は15枚以内だから、せめて半分ぐらいの枚数は書け」という。これまた急いで1日で倍に水増しした。伝え聞くところでは、これが何と、佳作だという。
「なんだとぉ、俺の文章が佳作か!」
なんて言ってみたいというのはウソで、賞というのはノーベル賞じゃなくともうれしいものだ。それが例え、小学校の皆勤賞であっても。あ、いや、こんなことを書くと武本文学賞に対して誤解を与えてしまう。
いまさら読み返してみると、サイト用文章よりは時間をかけたものの、それでも突貫工事だっただけに読むに耐えない。この受賞は、明らかにご祝儀か。佳作でも賞金がもらえるそうで、来年の授与式まで、チョビット楽しみが増えた。でも私は日系詩文学会の会員ではないので、授賞式当日に賞金から会費を払わねばならぬらしい。ま、それでも手元にはいくらかは残る額だそうだ。
そして、「次は小説でも」などとおだてられて、危うくその気になりかけた。熱しやすく冷めやすいのは、大阪人の血である。私には、そこまでの才能はナイ。どうやったら、破天荒なストーリーを組み立てられるのだろうか、コロニア小説家の皆さん。そんなことを考えていたら、ふと、昔の文章を思い出してしまった。これを発表したサイトは消失して復活の可能性がゼロとなったことだし、著作権者である私が当サイトに掲載しても義理という点からも問題なかろう。ま、それ以上に退職金の支払いがやっとこさ解決したのでな。
ということで、これ。Dango教授、堪忍やで。
ちなみに主催者からの正式な受賞通達は、これまでのところ無い。ホンマに受賞したんか?
ちなみにこの内部情報は件のコロニア作家によるものだが、同氏曰く、「問い合わせに対する返事は決まって入選。まったくもってアテにならない」のだそうだ。おいおい。
2002.11.21 補遺
私がサンパウロを離れていた間に、ニッケイ新聞紙上に受賞者が発表されたそうだ。で、何と私の名前は、この情報どおり記載されていたそうな。本当に、受賞してしまった。
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