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ブラ吉くんとソッコちゃん(上) − やっぱり海はいい気分だ
2002年10月24日
サンパウロ市在住 美代賢志

 遠くて近い国ブラジル。ポルトガル語だって、未知の言語のようでいて、結構身近にあったりします。小学校で習った「カルタ」なんかもそのひとつ。ここでは他のポルトガル語講座と違う、日本語みたいなポルトガル語(禁句編)を短期集中講義です。登場人物は日本人のブラ吉くんと、日本語勉強中のソッコちゃん。

 良い子は立ち入り禁止のポルトガル語禁句の世界、それでは開講!

登場人物

ブラ吉くん サンパウロの某大学留学中の日本人。呑気で気が弱い。ソッコちゃんの家庭にホームステイ中。
ソッコちゃん 非日系ながらも日本語と空手を勉強中。気が強く、得意技はソッコ(正拳突き)。
お助けマン 色々なことを解説する、謎の天の声。つまり作者。

 年末が迫りブラジルもいよいよ夏。サンパウロ在住のブラ吉くんは、ソッコちゃんを、海に行こうと誘いました。

 12月に入ればスッカリ夏。輝く太陽を求めて海岸では、大勢の人たちが思い思いに過ごしています。

「んー、きっもちイイ! ブラ吉くん、まずは日光浴ね!」

「OK! ここにパラソル立てて、ビニールを敷くから…」

 バスッ! 突然、ソッコちゃんの正拳突きがブラ吉くんに炸裂! なぜ?

「イテテ! ソッコちゃん、何だよ?」

「ブラ吉くん、親指と人差し指で輪っかを作るなんて、失礼しちゃうわ。それ、すごく下品なサインだってこと知ってた?」

「あ、そうか。ブラジルではこれ、別の意味だったね」

 ブラ吉くんはなかなか、この習慣が抜けきれないのでした。親指と人差し指で輪をつくるサイン、日本では「OK」を意味したり「お金」を意味したりと便利ですね(日本の某カメラメーカーではゴミゼロを意味したりもします)。でもブラジルでは…、日本語では何なので英語で解説すれば「Fuck your ass !」なんです。皆様も気をつけましょう。

 ともあれ、2人は日光浴を決めこんだようです。燦燦と降り注ぐ太陽。近くではビーチバレーなど、様々なスポーツを楽しむ人の姿も。それにしてもブラジルの海岸は、老若男女、どうしてこうも「水着が小さい」のでしょう。日本ではめったに遭遇できない光景に、幸せ100%を実感するブラ吉くん。いやぁ、やっぱり海に来て良かったよ。

 背伸びをして、思わず声が出ます。

「あぁ、いい気分だ!」

 バスッ! またもや突然、ソッコちゃんの正拳突きがブラ吉くんに炸裂!

「ソッコちゃん、そりゃないぜ。せっかく気持ち良くくつろいでいるのに!」

「ホントあなたって、デリカシーがないのね。私だって友達とはいえ女性よ。女性が横で日光浴しているのに、ほかの女性のお尻ばっかり見てるんだもの!」

(ギョ。サングラスしてたのにどうして分かったんだろう。教えて!お助けマン!)

 解説しよう!

 問題はブラ吉くんのセリフ、「いい気分だ」にあります。これはポルトガル語の同じ発音で「Ihhhh! Que bunda !」、つまり「ワォ! なんて(最高の、あるいは最低の)お尻だ!」という意味です。つまり、女性に対して、非常に失礼な言葉。あんまりいい気分になっていると、あなたもソッコちゃんに正拳突きされますよ!

つづく

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