2002年10月24日 |
サンパウロ市在住 美代賢志 |
ブラ吉くんがソッコちゃんを誘って海岸から少し離れた自然公園を散策します。実はソッコちゃん。大の花好き。海岸近くに咲く蘭の花が目当てです。それもフラワー・ウォッチング。だって採集は禁止されていますからね。
「ねえ、ちょっと自然公園を散策しましょうよ。きれいな蘭の花が咲いているらしいのよ」
「そうだね。いつも砂浜ばっかりだから、たまには良いかもね」
「じゃ、決まりね」
少し歩いたところで、ソッコちゃんが双眼鏡を取り出しました。どうやら遠くに、蘭の花を見つけたようです。
「うーん、違った。それにしてもあそこ、マンゲがすごく茂っているわ」
「え、ソッコちゃん、何見てるの? プライベートビーチ? それともヌーディストビーチ?」
「ほんとブラ吉くんってイヤらしいのね。ポルトガル語でマンゲというのはマングローブのことよ」
「あ、そうだったのか。可愛いソッコちゃんがマンゲなんて言うもんだから…」
バスッ! 突然、ソッコちゃんの正拳突きがブラ吉くんに炸裂!
「すみません。黙ってます」
やれやれ、ブラ吉くんはソッコちゃんに嫌われたかも知れませんね。ということでソッコちゃんの機嫌をとるためブラ吉くんは、ショッピングに誘いました。
「何でも言ってよ。プレゼントするから」
「せっかく海に来たことだし。それじゃあ私、タマンコが欲しいわ!」
「え! マ、マ…。ソッコちゃん、それ、本気?」
ドスッ! 再び突然、ソッコちゃんの正拳突きがブラ吉くんに炸裂したのでした。
「たたた。な、何だよソッコちゃん」
「タマンコはつまり、tamanco。底が木製の靴やサンダルのことよ!」
すっかり意気消沈したブラ吉くん。家に帰って汚れた服を洗濯です。洗濯籠に入れた服を洗濯しようと、ソッコちゃんに声をかけました。
「すっかり日焼けしてソッコちゃん、真っ赤っかだね。さてと、籠の服洗濯、大丈夫?」
ドスッ! バスッ! 突然、ソッコちゃんの正拳突きが2発もブラ吉くんに炸裂。ソッコちゃんはその足で、スタスタと部屋を出ていってしまいました。もう、口も聞いてくれません。
(イタタタ! 何でなの? 教えて!お助けマン!)
解説しよう!
問題はブラ吉くんのセリフ、「真っ赤っか」と「籠の服洗濯」にあります。これはポルトガル語の同じ発音で「macaca」、「cagou
no fu cu senta cu」、つまりマカカは「雌ザル」、次の言葉は、「ウンチまみれのケツのまま座れ」みたいな印象を与えます。非常に失礼な言葉だったのです。
(国際人への道のりは険しいよ)
そう嘆くブラ吉くんの淡い恋心は、すっかり砕け散ってしまたのでした。
(おわり)
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