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今さら あえてE-1のことなどを

2004年11月3日

サンパウロ在住 美代賢志

 久々に、街歩きを始めた。

 「最近、太ったねぇ…」と言われたり、さらには医者にも運動を奨められたのも一因ながら、実は実は、これにはもう少し深い訳がある。トップページにアクセスされる方はご存知と思うのだけれども、そう、買っちゃったんですわ。あれを。

 オリンパスのE-1。

 そんなわけでまた、ちょこちょこと市内を徘徊する日々。

 結局のところ、散歩カメラとして昔から気になっていた機種を入手してしまったことになる。
 発売から約1年という、(日本の)市場的には「すっかり旧機種」になっている感もあるのに加えて、

「そりゃあんた、カメラとしての大きさも標準的レンズがカバーする焦点距離も、DiMAGE A1とE-1じゃ違うやんか!」

「え、コニカミノルタのα-7DIGITALが発表されたのに?」

「オリンパスだったら、より高画素のE-300が発表されたのに?」

 …と、そんな声が、私の心の中からも届いている(笑)。

 ただ、「まぁまぁ、そう言わずに。…てか、そういう判断基準とは違うカメラじゃないかなぁ…」という魅力があるカメラであるのも事実じゃないかと思うわけですよ、とりあえず。

 屁理屈をこねて購入の動機付けをすると、お手軽(仕事)でも使えるメイン(趣味)カメラ、というところ。つまり…DiMAGE A1の後釜+アルファなんて書くと、DiMAGE A1にもE-1にも失礼で、むしろメインである銀塩フィルムカメラのα-9を置き換え、さらにはDiMAGE A1の役割も担ってもらおうというニュアンス。実際、E-1の導入後、α-9の出番が極端に減少してしまった…。

 そういうわけで、標準的レンズの焦点距離がA1とE-1で違う点や、絶対的なカメラ(とレンズをセットした時)の大きさは、「許せるかな」と考えた。しかも、何を隠そう、諸事情によりE-1と標準ズームレンズ(14-54mm/F2.8-3.5)だけ、というシンプルなシステムになっている。

 

内蔵フラッシュ派じゃなかったのか?

 フラッシュに関しては、DiMAGE A1に外付けフラッシュを組み合わせてTTL撮影したのは、カーニバルぐらいしか思い出せない。TTLの場合は、ほとんど内蔵フラッシュだった。E-1でも、外付けならばTTL撮影しないだろうし、それならばゴロゴロと何台も転がっているミノルタのフラッシュ(取り付けはアダプター使用)があれば不要と判断した。

 それに、銀塩では「色被りが嫌でフラッシュを当てていた状況」というのも結構あったわけで、デジタルカメラではこの場合、ホワイトバランス(WB)を設定すればフラッシュは不要。逆に、自然な描写になることも多いので、「本体に内蔵されてなくても許せるかな」という風に、A1を使いながら心境が変化してきていたことも大きかった。これは、RAW撮りなのが、一番の理由。といっても、「本体に内蔵されている方が、内蔵されていないより良いよね!」という立場は変わらないですが。

 最小限の組み合わせになったのは、まぁ、とあるお方にブラジルまで持ち運んでいただいた、という事情から。こまごましたCDやコード類ですら、郵送に振り分けたほど。それから、α-7DIGITALの購入も視野に入れている関係上(ブラ妻には今のところヒミツ)、それ以外のシステムをあまり拡張したくないという気持ちもある(笑)。

 

αシステムは??

 α-7DIGITALの関係で言えば、もちろん「併用」を念頭においている。主に望遠と単焦点をαに、日常的な散歩写真をE-1にしようと考えている(のだけれど、7DIGITAL購入資金の捻出に関しては、白紙=笑)。
 オリンパスのEシステムは、魅力的な単焦点が無い(というか当面は規格に賛同する他社からも発売されそうにない)という部分が私にとっては大きくマイナスという気がしている。近頃発売された150mmF2.0も、「へぇ、いいですなぁ」とは思うものの、それ以上の「モエモエ」状態にはならない。
 望遠レンズをほとんど使わないという事情もあるけれど、オリンパスが、「300mm相当でF2.0!」と力説すればするほど(同社のサイトでやたらカッコ表記で銀塩35mmフィルム換算を書いているのって、何か嫌味な気がして)、シラケるのも事実(ごめんよ、オリンパス)。なぜなら、「それを言ったら、APSデジだって、正味10万円もしない200mmF2.8レンズが300ミリF2.8相当になるわけだし。オリンパスの150mmが1段明るいのは認める。じゃぁ、描写は? ボケ方なら、APSで200mmF2.8も、フォーサーズの150mmF2.0も、基本的には銀塩35mmフィルムの300mmF4相当で同じだよね。同じ様な描写を得るために、150mmF2の値段って高すぎない? しかも、トータルシステムとして考えれば、他のマウントはレンズメーカー製がゴマンとあるのに、オープン規格のはずのフォーサーズって、レンズのエントリーが寒すぎ」と、言い返したくなるわけですな。

 もっとも、Eシステムはデジタル専用設計だという点を評価しないわけにはいけない。14-54mmの数値的な意味での描写は、正直言って「すんばらスゴイ(だろう)」と、(実感ベースでは)思う。このあたりは今後、カメラ側の画素数が増加する中で、銀塩流用レンズに対するアドバンテージになりそうだ。もっとも、Eシステムのレンズで撮影した時の(数値的な意味合いの方の)描写が優れている理由が、「デジタル専用設計のレンズだから」なのか、「最新設計のレンズだから」なのかは、私には分かりませんが。それから、山のようにレンズを揃えるほどにはEシステムは充実してはいないのだけれども、レンズの明るさと焦点距離を考えれば、とくに複数本のレンズをカバンに入れて撮影に出かける人にとって、Eシステムは比較的コンパクトだと言えると思う。まぁ、私のような使い方だと、あまりご利益はないみたいだけど。

 

より高画素のE-300が発売されるのに…

 E-300に関しては、具体的な内容や型番は不明ながら、「廉価機が出る」という噂は聞いていた(日本からじゃないです)ものの、ほとんど考慮しなかった。これに関しては、1)防塵防滴にならない可能性が高い 2)廉価機でも画素数はE-1を上回るだろうけれども、現状では5MPで不満無し、というのが理由。画素数と連写といったスペック以外の部分、防塵防滴だったり、手触りがよかったりという、「腐らない基本の上に組み立てられているカメラ」という点が大きかった。というか、今まで使ってきたDiMAGE A1の最大の弱点は「雨に弱すぎ(という印象。実際には雨で不具合は出ていません>たぶん)」だっただけに、「防塵防滴&ダストリダクション」というのは、私のハートを思いっきり刺激するスペックだった(笑)。

 

 それで実際に使用し始めてまだ1ヵ月程度だけれども、このカメラは「絶対にお手軽カメラじゃないな」というのが感想。結論を最初に書くと、恐らく合意してくれる人はそれこそ1000人に1人もいないんじゃないか?と思う。が、あえて書こう(読者の皆さんが噴飯してモニターが汚れるとイケナイので、ちょっと間を置いて…)。

 

 

 

 

 オリンパスE-1って、「EOS-1をコンタックスS2化したカメラ」じゃないでしょうか?

 

 

 

「完全メカニカルを追求したS2と、ピコピコ電子カメラのEOS-1と、どこに接点があんじゃ、ワレ!」

 とお叱りになるのも結構。というより、「そもそも、コンタックスS2って何?」という若者のほうが多いかも。すみません、おっさんで。

 でも、ピコピコ電子AFカメラが全盛だった当時、コンタックスS2の発表を見て、「フルマニュアル&スポット測光って、激しく使いにくそう」などと言いながら、内心、「実は、こんなカメラが欲しかったんだよ」と、思った人は多かったのではなかろうか? 私も、ダイヤル周りにゴムなんぞ巻かずに、金属丸出しのガチンコカメラだったなら購入していたと思う(本当は、ビンボー学生にそれだけの余裕はなかった)…などと老人的懐古モードに入っても仕方がないんで、とりあえず、S2というのは↓こんなカメラです。

カタログをブラジルまで担いできていたというのは、ヒミツ

 オリンパスE-1が、「1ボタン1機能」といっても、それはEOS-1(もちろん銀塩)の延長線上にあるカメラ、というのは誰もが認めるのではないだろうか? EOS-5以下のカメラでは、左側にモードダイヤルを備え付けた操作性で統一されていることから、キヤノンのラインナップの中でもEOS-1(と3)は異色の存在とも言える。

 90年代初頭頃は雑誌などでも、「次機種(EOS-1N)では、EOS-10同様、左側にモードダイヤルを」などと、一部のプロのカメラマンやライターも注文していた。しかしながら結局、EOS-1DsMk2に至るまで、一貫した操作性を継承してきたのはご存知の通り。で、EOS-1系列だと当初は、(たぶんお年寄りカメラマンを中心に?)ボタンを2つ同時に押したりするのが面倒という声があったりしたようだ。だからボタンの数を増やして、同時押しを減らしてみたというのが、まぁ、E-1じゃないかと。ちなみに素人向けのカメラに多い、ボタンが少なくてシンプルなデザイン(当時はミノルタがこれに相当)は、使いやすそうに見えて実は使いにくく、EOS-1のようなボタンの多いカメラの操作性のほうが操作性は優れています。…と力説していたのは、皮肉なことに?その後キヤノンと確執があったと噂されるサンダー平山氏だったなぁ…(やたら懐古ジジイでスミマセン)。

 それで、何がS2と似てるって、まぁ、無理やり理屈をつけると次のような感じ。

1) デジタルカメラはマニュアル露出との相性がよろしい
 例えば1枚撮影してみて露出をチェック…という場合、露出がオートだと(手持ちなら)改めて構え直した時にテスト画像と露出値が変わってしまう(ことがある)。露出補正するぐらいならマニュアルで合せたほうが気楽(と思う)。
 まぁ、A1でもマニュアル露出していたわけですが。

2) スポット測光って光学ファインダーと相性いいよね(もしくはESP測光って私的にダメダメ)
 単なる不慣れ?という部分もあるが、かなり中心の明るさに影響を受ける気がする。とりわけ逆光っぽいシーンでは、「ぎょえー」とぶっ飛ぶほど補正されたりする。ま、慣れたスポット測光で露出を読むのが気楽(中央重点のほうが良いという人もいるかも。このあたりは慣れ次第ですね)。

3) 3点AFって石器時代っすか?(あるいはファインダーはMFだってOK!)
 α-9も3点なんで、デカイことは言えませんね。でもE-1ってスーパーインポーズもないし、中央以外はイマイチ外しやすい(手持ちの銀塩カメラと比較して)。ならマニュアルフォーカスのほうが気楽(ってことも多い)。ただし、オリンパスのフォーサーズ互換レンズの場合、MFするならちょっと注意が必要(後述の予定)だと思う。それでE-1のファインダーは、MFも何とかできる水準と思う。

 

 要するに、EOS-1みたいに電子化されてるピコピコ押しボタンの電子カメラだけど、オート(AF&EPS測光のAE)による撮影で納得の行く結果をコンスタントに出すのには(ちょっち)熟練を要し(てか、オートの癖をイチイチ覚えたくないオヂサンの年齢になっちゃいました、ですね)、フルマニュアルにすると使いやすいカメラ。ちょうちん風に書けば、スポット測光によるマニュアル露出&MFで楽しみたいコンパクトなハードユースカメラ。これってやっぱり、コンタックスS2じゃないでしょうか? 違いますか。そうですか、私が悪うござんした。

 当然ながら、「中央重点測光で構図を読んで一発で露出補正!」というスタイルに慣れている人なら、露出はオート(+露出補正)でも問題ナッシング。もちろん、コンパクトなデジタルカメラを使っていて「露出の不満はない」という人も、オートで撮影しても不満はないと思う。

 結局、私の購入動機だった「お手軽撮影もこなしてしまう本気カメラ」という部分の「仕事カットをお手軽に撮影する」という部分では、少しだけ遠いところに行っちゃったカメラ、E-1。でも、「本気カメラ」という部分では、「使いこなし」が楽しいし、マヂの入った作りは雨天でも積極的に持ち歩きたくなるほど。そしてフルマニュアルで操作(と結果)を楽しんでいる。

 そうやって楽しめるほど、E-1は私にとっては、かなり愛せるカメラだということが分かっていただけましたでしょうか。ただし、「ボタンがウジャウジャあるのもいいけど、レバー併用も便利だよ」と、ミノルタ系の操作に慣れた私は、オリンパスの今後に期待している。そんなわけで、いまさらながら?E-1について語ってみたいな、と思っております。

(つづく)

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