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途上国の薬品は「ヤバイ」か? |
2003年6月23日 |
サンパウロ在住 美代賢志 |
日本に帰ると、かなり気をつけていないと体調を崩すことが多い。恐らくこれは、食料に含まれる薬品ではないかと考えている。日本では、ちょっとした漬物にまで添加物がある。むしろ、添加物のない食品を食べるということ自体、難しいのではないか。実はブラジルでも私は、例えばインスタントラーメンを2食続けて食べるなどすると、同じように体調が崩れるのである。
一方のブラジルでは、野菜や果物などで収穫直前の農薬散布が禁止されていないという。そのため、葉野菜や果物は、食べる前によく洗う必要があるとされる。とはいえ、日本のように冷凍食品が身近なわけでもなく(これは私がビンボーなだけ、という意見もあるのですが)、水耕栽培もまだ少なく、旬の野菜やフルーツを食べるしかない暮らしは、実は健康の元ではないかと思う。何より、あまり外食ができない事情、そしてその外食も「冷凍品を組み合わせて調理するだけ」というのとは違う。自然が一番といいつつハウス栽培の野菜を頬張るのって、やっぱりおかしいと思う。
さて、ブラジルに住んで困ることのいくつかは、日本の慣れた薬が手に入りにくい、ということである。正露丸程度なら手に入るが、日本の「目にしみる目薬」などというのは、ブラジルにはない。私はアレの大ファンなのだ。また、「ブラジルで処方された薬は、日本人にはきつすぎる」ともよく言われるのも怖い。以前、駐在員から「ブラジルの解熱剤の中には血圧を下げるものがあり、医師の処方そのままに飲むと(日本人には)死に至るほど強力なものがある」と、言われたことがある。その方の場合、出張先の医師から処方された分量の3分の2で充分と、サンパウロに帰ってかかりつけの医師から言われたそうだ。
途上国の薬、恐るべし、である。
ところで…、近頃はサロンパスが活躍してくれているのだが、驚くべきことにかつて、ブラジルには「スースー系湿布薬」がなかった。伝統的なのは、どちらかというと温湿布系のようで、塗っても何の感動もないようなありがたみもないような、「本当に薬?」というものが中心。などと泣いていると、日本から送られてきた。「インドメタシン配合」のやつ。
たまたま、「かかりつけでない医師」の診察を受けて話のついでにしたところ、「常用はしないように」と言われた。インドメタシンというのは非常に強力な薬品で、副作用も確認されているとか。ブラジルでは、そう簡単に入手できない種類のようである。日本では、街中の薬局で普通に売られているのだが…。
インターネット調べてみると、確かに、副作用があるようだ。ブラジル人医師の言うとおり、「肩こりに常用する」のは、ちょっと危険のようである。こうして見れば、日本の薬も充分、ヤバイ。
こうしたものは、それぞれの国にそれぞれの事情と基準があるのだが、日本人からすると「日本が世界で一番安全」という気がしていた。が、当たり前ですが皆さん、間違い。それぞれの国に良いところがあり、また欠点もあるというのが正解のようです。少なくとも私は、食生活(食習慣か?)と食品添加物に関しては、日本よりもブラジルのほうが体に良い、という気がしている。
日本のスローフードブームというのは、そうした視点からは見掛け倒し、という気がする。生産者も含めてスローでなきゃ、ね。でも、一般化してしまった添加物まみれの生産現場を変えるのは、容易じゃないと思う。それを思うと、ブラジルのビンボー暮らしがありがたくもある。
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