日本人が東洋街を歩いてまず驚くのが、その店のネーミングだろう。
例えば、玄関口のガルボン・ブエノ街(Rua
Galvão Bueno)にあるショッピングセンター「SoGo」。日本の本家はどうか知らないが、こちらのそごうは元気である。もちろん、子会社でもなんでもない。主人は中国系移民である。ただし、最初こそ日本人の間で「そごう」と呼ばれたが、今ではロゴも含めて「そご」となってしまった。
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手前の紅白のビルが「そご・プラザ・ショッピング」。左手奥に「セー大聖堂」が見える (撮影いずれも:美代賢志)
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リベルダーデ広場(Praça
Liberdade)から、エストゥダンテス街(Rua dos
Estudantes)を下ると、「伊勢丹」がある。本家の伊勢丹が知れば激怒しそうな店構えである。こちらの主人も中国系移民だ。
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この白いビルの1階が伊勢丹
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いずれも、日本の名だたる?大店にあやかっているのだろうが、その営業ぶりは客も主人も、「それがどうした?」と言っているがごとく、別路線である。ま、確かに「ダイエー」よりは良いかも知れない。何しろこちらは、(恐らく)多くのデカセギが利用する店のひとつであり、ブラジルでも名前を聞くと即、そのイメージが浮かぶ人も多いだろう。だから一般的には「何のこっちゃ?」と思える、それでいて日本で有名なネーミングということで採用したのかもしれない。
さて、こういう大きなものにはすぐに目が行く。が、私が最も感銘を受けたのはカレーのルー。その名も、なんと「ボン・カレー」。マルイチ製の、純ブラジル製品である。カタカナで書くと日本のレトルト製品と同じになるが、ポルトガル語が憎い。「Bom
Curry(おいしいカレーという意味)」と書く。さすが。でもパッケージはご覧の通り、到底ながら購買意欲をそそるものではないのが残念でならない。
こういう商魂はどこから沸いてくるのであろう。単なる「売らんかな」ではなく、そこに何がしかの茶目っ気がある。私はやはり、「移民」というもののたくましさではないかと思う。考えようによっては在日ブラジル人、いわゆるデカセギも移民である。彼らにも、こういうたくましさがあるはずだ。これを活かす妙案があれば、と思う。
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これが、泣く子も黙るBom
Curry!R$2.80(約150円ぐらいかな)
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