故・小渕恵三元首相は、ブラジルとの縁の深い政治家であった。若かりし学生の頃、彼はカバンひとつでブラジルへやって来たことがある。その彼が政治の世界に入って一躍有名になったのは、時代の転換期、「平成」と書かれた紙をビロロと披露した時であろう。
久々にわたくしDangoがそのような昔の、しかも異国の出来事を思い出したのはほかならぬ、新大統領決定のテレビ報道がきっかけであった。
ブラジルでは去る10月27日、大統領選2次投票が行われた。全国規模で電子投票(一部地域では衛星通信による集計)が実施されたこともあり、投票締め切りが午後5時であったが、その直後に、大勢は決していたという迅速ぶり。
そしてテレビ司会者は、テレビカメラに向かって神妙に、噛みしめるように言ったのである。
「ブラジルの新大統領が決まりました。新大統領は、烏賊です」
イ、イカ?? ワシは、ブタ玉の方が好きじゃがな。
それにしても、何たることか。法治国家で選ばれた大統領が、烏賊とな。そしてこの台詞は、初の左派政権誕生とともにブラジルの歴史に刻まれることになった。
いや、新大統領は正しくは、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シルヴァという。通称、ルーラ。烏賊のルーラ(Lula)、そのまんまである。
ちなみにカメルーンは、「カマロン(Camarão)」という。つまり、海老。98年のW杯では、対カメルーン戦を前に海老料理を食べるのが一部で流行した。しかし今回の選挙戦では、烏賊料理ブームは到来しなかった。これが与党の敗因かと、私は考える。
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