ブラジルにはレディーファーストの風これあるものの、実態は男尊女卑の隠れ蓑という事は誰もが知るところである。私の知る美代何某などは、「カメラより重い物は持たぬ」と公言し、日常の鍋やかんの類も手に取らぬだけでなく、掃除洗濯一切、手伝わぬ性分である。女房が日本人なら、とっくに愛想をつかされているであろう。
さて、では日本はどうかといえば、私の見る限り女尊男卑である。その理由は、夫婦間の呼称にある。
おおよそ夫は妻を「お前」と呼び、妻は夫を「あんた」と呼ぶ。お前とは「私の眼前におわす方」との意味である。では「あんた」とは何か。antaというのは、夢を食べると言われる奇獣バクのことである。そしてブラジルでは、antaには、本来の意味以外に、「トンマ」の意味があることは読者諸賢もご存知のはず。日本の既婚男性は妻からanta、つまりトンマと呼ばれて「はいよ!」と答えるほどのお人好しである。これがブラジルなら大喧嘩になる。
よって私は、日本は女尊男卑の国と断ずるのである。
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